RSSで完結させてしまって何が悪い?
ご存知のようにインターネットは、お人好しの集まりです。
最近Pythonを調べてみる機会がありましたが、検索してみるといろいろなサンプルが山のように(何千、何万件も)ヒットします。
これは、たとえばエクセルのことを調べても、あるいはDREAMWEAVERのことを調べても同じように親切なページが多数存在することがわかります。
それらのほとんどは個人が運営しているページのようです。
これらのページは、一種の事典的な存在であるのに対して、もう少し時事的な出来事を含ませてノウハウやハウツーを提供してくれているのが、ブログだと思います。このブログには便利なRSSという仕組みが存在しています。
RSSリーダーと組み合わせると、あらかじめ登録しているブログを定期的に巡回して新しい記事があるかないかを確認し、更新された記事があった場合にはメールを受信したときのように知らせてくれ、そのまま記事の内容を読むことができます。
この際、RSSリーダーは記事が書かれたページ(HTMLで記述)を読み込んでいるわけではなく、RSSだけを読み込んでいます。
ところが、このRSS内には記事の全文を入れないものが多くあります。
特にニュースサイトがそうだと思いますが、概要だけをRSSで配信していて、”〔 続きはこちら 〕”などと実際のサイトを参照することを促されることがあります。せっかくRSSリーダーで受信してサクサクと読み進んで行きたいのに、これを面倒だというのは私の怠慢だ、ということでしょうか。
私は通勤や通学時、あるいは奥様に付き合っての買い物のときなどに文章を持ち出したいと思っています。
いつでも持ち歩いている携帯電話に大量のテキストを保存するためのアプリを作ったりしましたが、PDA+RSSリーダーはさらに強力なツールとなります。とくに自動で文章を取り込んでくれるのがうれしい。とはいっても、RSSの中に記事の全文が入っていないと外出先には無線LAN環境がない場合が多く、持ち出しても意味のない記事となってしまいます。
そこで試してみたのが、Yahoo! Pipesサービス
でした。
日本語版は まだ提供されていないので文字化け対策に苦心しましたが、いくつかのサイトについてRSSの全文化を施し、さらに最新の記事から読みたいので複数のサイトのRSSを1つにまとめてしまいました。
こうして作ったのが、ITC関連の割と一般向けの記事をまとめたものと、ITC関連の少し技術寄りのもの、そしてガジェット関連のものです。あと、おまけ的に英語学習向けのものを作りました。
さらに自分がオフィスにいるとき、RSSリーダーがないときにも読むことができるように、PHPでRSSを読み込んで、WEBサイトに貼り付けてしまいました。
(→ extreeemist!! )
すべて自分の利便のために行っていることですが、インターネットですから全てオープンな状態にあります。だれでも、読むことのできる状態にあるわけです。
この場合の問題として、新しく再構成されたRSSの是非が問われることになりそうです。
たとえば、次のような問題があります。
・再配布
Yahoo! Pipesのサイトでは、公開有無の設定は可能。
とはいえ、そもそもが出来上がったものはみんなで利用しましょうという趣旨のサービス。
・オリジナル記事
著作権の問題ということになると思いますが。
記事のオリジナルなページはどこなのかというのは、新しいRSSを作成する場合に含めるかどうかを決めることができます。
私の作ったRSSはすべてオリジナルの記事へのリンクを保持しています。
・デザインの改編
オリジナルサイトのページそのものがデザイン性がある場合、これを損なってしまっている。
記事内の文字色等いくつかの装飾はそのままですが、全体的にはデザインが変わってきて、記事をみたときの印象は変わってきてしまいます。
こうした問題も、オリジナルのRSSに全文を詰め込んでおけば再配布の必要がないといえますが、そこにも問題があるようです。
・RSSのサイズ
全文を詰め込むと配布するRSSのサイズが大きくなってしまいます。
記事の更新有無を確認するためにページにアクセスし、毎回サイズの大きいHTMLを取得するよりは
情報をコンパクトにしたRSSで確認して欲しいというトラフィック軽減の期待があるかとおもいます。
・サイトへの誘導
広告により収益を得ているニュースサイトなどでは、RSSだけで終わって欲しくないという気持ちがあります。
広告を掲載したWEBサイトを表示してくれないと意味がありません。
逆に、個人のブログであれば、自分の意見に真摯に耳を傾けてくれ、しかも継続的に読んでくれるなら
RSSの再配布という形にはこだわりが少ないのではないかと思われます。
ここで次の記事を引用します。
Webはリミックス可能なものになってきており、システム全体がプラットフォームとデータベースの両方になりつつある
主要なウェブサイトはウェブサービスに変化し、その情報をより効果的に世界に発信するようになるだろう。このような変化はスムーズには起こらない。例えば、規模の問題も大きいし、法的な側面も単純ではない。しかし、これは起こるかどうかという問題ではなく、もはや時間と手段の問題だ。
この変化は次の2つのどちらかの形で起こるだろう。
一部のウェブサイトはAmazonやdel.icio.us、Flickrのように、REST APIを通じて自らの情報を提供する。
他のサイトは情報を独占しようとするが、DapperやTeqlo、Yahoo! Pipesのようなサービスを使って作られたマッシュアップによってオープンになる。
全体としては、構造化されていない情報は構造化された情報に道を譲り、より知的なコンピューティングを可能にするだろう。
私はインターネット上の文章(記事)を戸外に持ち出すために、より効率的に文章を収集したいという個人的な要求から、現状の限定されたRSSをリメイクすることで、サイトにしばりつけられたコンテンツを流動可能なコンテンツに変換する仕掛けをネット上に埋め込みました。
ブログにより個人の情報発信が簡易になる仕掛けが知られることになり、全文埋め込み型のRSSにより、その情報はさらに容易にネットを駆け巡ることができるようになります。
たしかに私の作業には限りがあり、公開しているリメイクされたRSSはたかだか10サイトほどにすぎません。ですが、それほどプログラミングに精通していない私個人が簡易に実現できてしまうわけですから、今後広く行われることになる素地があると言えます。
昨今の携帯電話のインターネット端末化への傾向をみていても、戸外に文章を持ち出したいというニーズは確かにあるのだと思えますから。
*本文中では単にRSSとしていますが、これは”ウェブサイトの更新情報等のメタデータやコンテンツの配信のためのXML文書の仕様”をさして使用しています。またRSSリーダーも同様です。なおRSSリーダーについては、フィードリーダー、アグリゲータとよばれることもあります。